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所有不動産の一覧情報の取得が可能となります。

2022年4月13日お知らせ

所有不動産記録証明制度

 相続登記の申請の義務化に伴い、登記官において、特定の被相続人が所有権の登記名義人※として記録されている不動産(そのような不動産がない場合には、その旨)を一覧的にリスト化し、証明する制度が新設されました。
※将来的には、表題部所有者への拡大にも検討されています。

 ただし、誰でも交付請求が可能な訳ではなく、プライバシーの観点から、所有不動産記録証明書の交付請求が可能な者の範囲が限定されています。
▶何人も、自らが所有権の登記名義人として記録されている不動産について本証明の交付請求が可能
▶相続人その他一般承継人は、被相続人その他の被承継人に係る本証明書について交付請求可能
要するに本人又は相続人から法務局に対して交付を請求できるようになります。

 今までは不動産の所有財産の一覧を調べるには、不動産ごとの所在地にある市区町村役場で固定資産税評価証明や名寄せを取り寄せるなどの必要がありました。しかし、固定資産税が課税されていない不動産については、記載されていないなど問題がありました。
 一見して、名寄帳の欠点を克服したかのように見える制度です。所有不動産記録証明書では、特定の名義人が所有する全国全ての不動産情報を一覧で取得できるため、不動産の調査漏れを防ぐことができます。
 
《名寄帳》
 特定の者が名義人となっている不動産の一覧を調査する方法として、名寄帳というものがあります。名寄帳とは、各市区町村が地域内の不動産所有者を管理している名簿のことで、これを確認すると、被相続人が同一市区町村内に所有している不動産を調べることが可能です。しかし、調べることができるのは名寄帳を管理する市区町村内に限定されるため、他の市区町村のものは別途他の名寄帳を調査する必要があります。

 これに対して、所有不動産記録証明書では、特定の名義人が所有する全国全ての不動産情報を一覧で取得できるため、不動産の調査漏れを防ぐことができます。

 実際の運用が開始されてみないと不明な点は多いですが、法務省の発表によりますと、証明書を申請する際には、登記名義人の名前と住所が必要になり、その両方が一致して、はじめて一覧として検索結果に表示され、証明書として発行されるものになります。過去のある時点の証明しかできないため、更新などがなされない限り、結婚などで名前が変わっていたり、変更した住所が反映されていなかった場合には、検索結果にかからないことが予想されます。過去の住所等も含めて申請・検索する必要があるのかもしれません。

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