買戻し特約の登記の単独申請による抹消登記・改正
- 2022年4月19日お知らせ
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形骸化した登記の抹消手続の簡略化➀・➁
【現状における問題点】
〇所有権以外の権利についても、例えば、登記された存続期間が満了している地上権等の権利や、買戻しの期間が経過している買戻し特約など、既にその権利が実体的には消滅しているにもかかわらず、その登記が抹消されることなく放置され、権利者(登記義務者)が不明となったり、実体を失ってその抹消に手間やコストを要するケースが少なからず存在するとの指摘がある。
〇現行不動産登記法には登記義務者の所在が不明である場合における登記の抹消についての特約があるものの、手続的な負担が重いなどの理由で活用がされていない実情がある。⇒より簡単に、所有権以外の権利に関する登記の抹消を可能とする仕組みが必要。
➀買戻し特約の登記がある場合、その買戻し特約がされた売買契約の日から10年を経過したときは、登記権利者(売買契約の買主)単独での当該登記の抹消を可能とする。
※登記された買戻し期間が10年より短い場合で、その期間を満了したときは、➁の方法によることが可能。(注)買戻権とは不動産を売却した売主が、売買代金を後日買主に支払うことで、再度売主名義にすることができる契約です。お金を売主に貸した人が売主から売買代金などの支払いがされなかった場合には、完全に所有権が買主に移転するといった、あたかも担保目的で利用されてきました。この買戻権の登記ですが、買戻の期間が経過したら自動的に登記記録から抹消されるわけではありません。不動産の買主と、売主である買戻権利者が共同で抹消登記の申請をしなければなりません。しかし抹消登記をせず長く放置していた場合には当時の資料、書類、当事者を見つけるのが困難となってしまいます。そこで買戻の特約がされた売買契約の日から10年を経過していれば現在の不動産の所有者が単独で抹消登記ができるようになるとのことです。買戻権が登記されたままでは不動産を売却することができないため、共同申請が原則の不動産登記において、今回の改正が成立すれば画期的な規定といえます。
➁登記された存続期間が既に満了している地上権等の権利に関する登記について、現行不動産登記法所定の調査方法により(登記義務者)の所在が判明しないときは、登記権利者単独での当該登記の抹消が可能となります。
⑴登記された存続期間が満了
⑵公的書類等で地上権者等や売主の所在を調査(現地調査までは不要)→判明せず
⑶公示催告の申立
⑷除権決定(裁判所)
⑸単独での抹消申請可(除権決定による登記の抹消等)
第70条 登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が知れないためその者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、非訟事件手続法第99条に規定する公示催告の申立てをすることができる。
2 前項の登記が地上権、永小作権、質権、賃借権若しくは採石権に関する登記又は買戻しの特約に関する登記であり、かつ、登記された存続期間又は買戻しの期間が満了している場合において、相当の調査が行われたと認められるものとして法務省令で定める方法により調査を行ってもなお共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が判明しないときは、その者の所在が知れないものとみなして、同項の規定を適用する。