長期間放置された担保権の抹消登記
- 2022年4月20日お知らせ
-
改正/形骸化した登記の抹消手続の簡略化③
《現在の状況》
〇被担保債権が弁済等により消滅しても担保権の登記が抹消されず、登記がされてから長い年月を経た担保権の登記が残存していることがあり、これがあると不動産の円滑な取引を阻害する要因となる。
〇現行不動産登記法には、登記義務者の所在が知れないため共同して登記の抹消を申請することができない場合において、被担保債権の弁済期から20年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたときにおける登記の抹消についての特例があるものの、登記義務者である法人の『所在が知れない』と認められる場合が限定されている上、貨幣価値が大きく変動しない現代においては供託要件を満たすことが困難な例が生ずることが予想されます。
⇒より簡単に、担保権に関する登記の抹消を可能とする仕組みが必要▷改正点 解散した法人の担保権(抵当権等)に関する登記について清算人の所在が判明しないために抹消の申請をすることが出来ない場合において、法人の解散後30年が経過し、かつ、被担保債権の弁済期から30年を経過したときは、供託をしなくても、登記権利者(不動産所有者)が単独でその登記の抹消を申請することができる。
➀公的書類等で法人の清算人の所在を調査(現地調査は不要)→判明せず
➁被担保債権の弁済期から30年が経過
③法人の解散から30年が経過
▶供託しなくても不動産所有者が単独で抹消申請可能長期間放置された抵当権等の抹消登記についてです。長期間放置されることでやはり当時の資料、書類、当事者の特定が困難となり、抹消登記ができるようになるまで大きな手間と時間を要する事が多くあります。抵当権は法人が関与していることが多いのですが、その法人そのものが解散によって消滅しているケースでは裁判所の関与が必要となる事もあるのです。今回の改正では解散手続きを進めた清算人の所在が判明しない場合で、債務の弁済期および解散の日から30年経過していれば不動産の所有者が単独で抹消登記を申請することが認められるようです。この改正により解散した法人の抹消登記の負担が軽減されるかと思われます。