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改正・相続放棄後の管理義務

2022年5月9日お知らせ

民法改正により、相続放棄後の管理義務がこれまでと比較して、明確になります。

現行法は、相続の放棄をした者は一律に管理責任を継続して負うものと規定しています。
いつまで管理を継続するのかも明確ではありません。

【改正法|民法第940条第1項】
第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

管理義務を負うのは、相続放棄時に相続財産を占有していた人です。
☞その財産を他の相続人や相続財産清算人に引き渡すまでは保存する義務を負うとし、いつまで保存義務を負うのかを明確にしました。

ex.第一順位の相続人である子が相続財産である土地を占有していたが、相続放棄をした後、これによって相続人となった第二順位の相続人である被相続人の兄(兄はこの土地の存在すら知らない)が続いて相続放棄をしたという事例において、誰がこの不動産の管理責任を負うのか。
☞このケースでは、相続財産である土地を占有している相続放棄者は子です。したがって、子が責任を継続して負い、被相続人の兄は管理したことのない土地についての責任は負わないと考えられます。

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