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預貯金払戻し制度

2022年6月7日お知らせ

預貯金が遺産分割の対象となる場合に,各相続人は,遺産分割が終わる前でも,一定の 範囲で預貯金の払戻しを受けることができます。

⑴ 家庭裁判所の判断を経ずに払戻しが受けられる制度
遺産に属する預貯金債権のうち,一定額については,単独での払戻しが可能。
➀相続開始時の預貯金債権の額×1/3×当該払戻しを行う共同相続人の法定相続分
又は150万円
1つの金融機関から払戻しが受けられるのは➀又は➁のいずれか少ない額。また、複数の銀行に口座を持っている場合は、それぞれの銀行に請求することができます。

【事例】長男が払戻しを受けられる限度額
被相続人の口座の預金残高:B銀行 定期預金 2400万円 C銀行 普通預金 300万円

相続人:妻、長男、長女、の3人

このケースでの長男の法定相続分は1/4

B銀行:①2400万円 x 1/3 x 1/4 = 200万円 ➀又は➁の少ない方の額なので、150万円

C銀行:①300万円 x 1/3 x 1/4 = 25万円  ➀又は➁の少ない方の額なので、25万円

B銀行の払い戻し限度額は150万円、C銀行は同じく25万円となり、合計で175万円の払い戻しを受けることができます。

(2)家庭裁判所の仮分割の仮処分による払出し

遺産の分割の審判または調停の申立てと同時であれば、家庭裁判所に預貯金債権の仮分割を求めることができます。相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により預貯金債権を払い戻す必要があると認められるときに、仮分割の仮処分を受けることができます。ただし、他の共同相続人の利益を害しない場合に限られます。

(家事事件手続法200条3項)
前項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。以下この項において同じ。)を当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができる。ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでない。

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